かつて「美人すぎる市議」として注目を浴びた元寝屋川市議・吉羽美華氏が、コロナ禍の混乱を悪用して医療機関から6億円もの資金をだまし取った詐欺事件。
公的立場を利用した巧妙なスキーム、詐取金の一部が格闘技団体に流れた驚きの資金ルート、そして懲役10年の実刑判決まで──。
この記事では、吉羽美華元市議の転落劇と事件の全貌を、わかりやすく徹底解説します。
- 「美人すぎる市議」こと吉羽美華元市議が、コロナ融資制度を悪用して約6億円を詐取。
- 市議という公的立場を利用し、医療機関を巧みに騙した悪質な手口が明らかに。
- 福岡地裁は2024年10月に懲役10年・追徴金1億9800万円の実刑判決を言い渡し、事件は幕を閉じた。
美人すぎる市議〜吉羽美華とは?
吉羽美華(よしば みか)は、2007年に26歳という若さで大阪府寝屋川市議に初当選した政治家。
当時はその華やかなルックスと行動力から「美人すぎる市議」として一躍話題になりました。
黄色いベンツで登庁し、自費でフォトブックを出版。地元の若者や女性から人気を集め、「寝屋川の星」とまで呼ばれた存在です。
関西学院大学経済学部卒という高学歴に加え、シングルマザーとして子育てと政治活動を両立する姿も注目を浴びていました。
その後、2012年に民主党、2013年に新党大地、2017年には希望の党から衆議院・参議院選挙に出馬。
小池百合子都知事の応援演説を受けたこともありましたが、いずれも落選。再び寝屋川市議に復帰し、活発な活動を見せていました。
吉羽美華(よしば みか)プロフィール
- 生年月日:1980年7月26日
- 出身地:大阪府寝屋川市
- 趣味:マラソン、ダイビング
- 元夫:谷川とむ(自由民主党衆議院議員)
- 結婚: 2014年
- 離婚: 2016年9月(2年で離婚)
- 子供: 2015年に長男誕生

学歴
- 小学校: 寝屋川市立木屋小学校(1987年4月入学)
- 中学・高校: 金蘭千里中学校・高等学校
- 大学: 関西学院大学経済学部(2005年卒業)
※一度大学を中退し社会人を経験した後、再入学して卒業
地方議員時代
寝屋川市議会議員
- 1期目: 2007年4月 初当選(26歳)※民主党公認
- 「美人すぎる市議」として注目を集める
- 2009年に写真集『よしばフォトブック』を500部出版(完売)
- 黄色のベンツで市役所に登庁するなど華やかな活動で話題に
- 2期目: 2011年4月 再選
- 2012年に市議を辞職し、国政へ挑戦
- 3期目: 2019年4月 当選(無所属)
- 7年ぶりに市議会に復帰
- 妊娠中の選挙戦を戦う
- 自民・立憲民主議員らでつくる会派に所属
国政挑戦の歴史(計3回)
1回目: 2012年12月 衆議院議員選挙
- 選挙区: 大阪1区
- 所属: 民主党公認
- 結果: 落選
2回目: 2013年7月 参議院議員選挙
- 選挙区: 大阪選挙区
- 所属: 新党大地公認
- 結果: 落選
3回目: 2017年10月 衆議院議員選挙
- 選挙区: 東京24区
- 所属: 希望の党公認
- 結果: 落選
- 小池百合子都知事から応援演説を受ける
コロナ禍に福祉医療機構融資制度を悪用
転機は2022年。
吉羽美華元市議は、新型コロナウイルス対策の「福祉医療機構(WAM)」による公的融資制度を悪用した詐欺事件で逮捕されました。
吉羽美華「詐欺の4つの手口」
新型コロナウイルス対策の「福祉医療機構(WAM)」による公的融資制度とは、コロナ禍で経営難に陥った医療機関や福祉施設を救済するために、
- 無利子・無担保で最大6億円を融資
するという特別支援策を行っていました。
吉羽美華は、この制度を逆手に取り、医療法人などを狙った詐欺スキームを展開したのです。
手口①:「特別なルートがある」と信用させる
詐欺グループは、医療法人などに「特別ルートでWAM融資を確実に通せる」と接触。
あたかも政府系ルートを持っているかのように装い、申請手数料や紹介料を名目に金をだまし取りました。
手口②:「返済不要」という虚偽の説明
「国の金になるから返さなくていい」「半分を返せば責任は問われない」といった甘い言葉で経営者を油断させました。
手口③:市議という肩書きを利用
吉羽氏は現職市議の名刺を提示し、政治家としての信用を演出。
「公的立場の人が言うなら本当だ」と信じ込む人が続出したのです。
手口④:証拠隠滅の徹底
やり取りは自動消去機能付きのSNSを使用。さらに「守秘義務契約書」に署名させ、足跡を残さないよう計画的に行動していました。
被害総額は十数億円!吉羽美華に6億円
検察によると、2020年〜2021年にかけて吉羽被告は以下の2件で計約3億円以上を詐取しました。
- 堺市の福祉施設: 1億2000万円融資 → うち約6000万円詐取
- 福岡県久留米市の医療法人: 6億円融資 → うち2億3200万円詐取
さらに捜査の結果、グループ全体の被害額は十数億円規模に膨らみ、そのうち約6億円が吉羽氏の手に渡っていたと判明。
しかも、その中の約4億円は格闘技団体「RIZIN」関連への出資に使われていたと報じられています。
さらに衝撃的なのは、吉羽美華が仲間から1億円以上を盗んだ疑いでも捜査されていたこと。
「詐欺グループ内の詐欺」という前代未聞の展開でした。
「私も騙された」と裁判で主張
2022年12月の初公判で、吉羽被告は白いパンツスーツ姿で登場。
「私は巻き込まれただけ。だまされた被害者です」と一貫して無罪を主張しました。
彼女が信じていたのは、事件の裏にいた福祉医療機構元理事・三浦由博(元みずほ銀行常務)。
三浦氏は40件以上の医療法人融資に関与し、約5億円を不正受領していたとして、2024年に警視庁に逮捕されています。
それでも裁判所は吉羽氏の主張を退け、「市議の立場を悪用した計画的詐欺」と断罪しました。
判決「自己中心的で悪質」懲役10年の実刑
2024年10月7日、福岡地裁は懲役10年・追徴金1億9800万円を言い渡しました。
冨田敦史裁判長は、次のように厳しく批判しています。
「市議という立場を利用して信頼を得た極めて悪質な犯行」
「簡易な審査制度を悪用し、私的利益を追求した」
「仲介話は相当うさんくさい。被告が鵜呑みにしたとは考え難い」
判決を受けても吉羽氏は控訴せず、懲役10年が確定。
現在は福岡拘置所に収監されています。
吉羽美華の現在と“ポジティブすぎる”発言
判決後の取材で、吉羽被告は「私は利用された」「しんどくなかった」と語り、驚くほど前向きな姿勢を見せています。
裁判を通じて批判を浴び続けた彼女ですが、今なお「私は被害者」と信じているようです。
まとめ
- 「美人すぎる市議」として脚光を浴びた吉羽美華
- コロナ支援制度を悪用し、6億円を詐取した巧妙な詐欺スキーム
- 市議の肩書きを利用して信用を獲得
- 仲間内でも金銭トラブルを起こすほどの混乱
- 判決は懲役10年・追徴金1億9800万円で実刑確定
政治家としての夢、そして華やかなキャリアの裏で進んでいた巨額詐欺。
かつて“希望の星”と呼ばれた彼女の転落劇は、「肩書きの信頼をどう使うか」という現代社会の教訓を突きつけています。