兵庫県知事選が終わるやいなや世間を騒がせている、斎藤元彦氏の選挙広報担当を名乗るPR会社の社長が暴露した「note」記事の詳細。「兵庫県知事選における戦略的広報」と題して写真付きで戦略の詳細を投稿したことで物議を醸しています。
PR会社や制作会社がやってはダメ
今回は選挙における公職選挙法違反が指摘されています。この活動が有償だったとか、主体的に活動していたことを明記しているとか、ボランティアで社員に給料は不自然とか…テレビでは法律の専門家やお笑い系コメンテーターがこの社長のnoteを検証しながら発言しています。マスメディア報道の怖い部分でもあります。
そもそも昔からこの社長のように戦略に主体的に関わるPR会社や広告代理店などが存在します。
ただ、戦略に関わった人間や会社が「こんな功績をあげました!」「こんなに努力して仕掛けを創っていました」などと公表しないのでグレーゾーンであっても世間のメディアに取り上げられません。
この部分です!社会の常識では、PR会社や広告代理店や制作会社などは「プロの黒子」です。表に出ることもないし、どんな戦略で成功したかなど公表しません。ましてや打合せ中の写真をSNSなどに投稿するようなことも御法度です。一部の専門誌などで掲載される場合もクライアントの承諾を得ています。
このnoteに詳細を記して自分の功績をアピールする自己主張の強さが、プロの常識では考えられない行動でした。
こうなると、斎藤知事も被害者かも。斎藤元彦知事は選挙後すぐに仲間から被爆するなど想像もしなかったことでしょう。
守秘義務は基本の「き」
選挙にかかわらず、PRや広告において企業との間に「守秘義務」が存在します。仕事の契約書で守秘義務が明記されていない場合でも、黒子であるPR&広告会社は「常識的な守秘」として商品情報や広告タレント起用、戦略や戦術を公開することはありません。これら守秘義務という社会ルールは、銀行員やお医者さんも同じなんです。
つまり、今回のPR会社の社長(株式会社merchu 折田 楓社長)が自分のnoteで成功事例として公表したと言うことは、社会の基本マナーが理解できていないことが発端ではないでしょうか。
今後も制作者含め広報・広告の新人たちが間違えを起こさないように、以下の守秘義務についてWikipediaより抜粋しておきます。
守秘義務(しゅひぎむ)とは、一定の職業や職務に従事する者や従事していた者または契約の当事者に対して課せられる、職務上知った秘密を守るべきことや、個人情報を開示しないといった義務のこと。
守秘義務は、公務員・裁判官・検察官・弁護士・公認会計士・弁理士・税理士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・社会保険労務士・海事代理士・医師・歯科医師・薬剤師・救急救命士・看護師・介護福祉士・中小企業診断士・宅地建物取引士・無線従事者・教師・銀行員・郵便局の職員など、その職務の特性上、秘密と個人情報の保持が必要とされる職業について、それぞれ法律により定められている。
当然、自分の家族や友人であっても漏らすことは禁止されている。これらの法律上の守秘義務を課された者が、正当な理由(令状による強制捜査など)がなく、職務上知り得た秘密の内容を漏らした場合(故意または過失、若しくは窃用を含む)、各法令で処罰の対象となる。上記以外の職業であっても、就業規則としての守秘義務を課せられることが多い。
例えば、自社の戦略を同業他社に知られないよう気を付ける必要がある。これは「法律上の」守秘義務ではないとはいえ、損害賠償を請求されたり懲戒解雇されるなど重大な行為である。守秘義務の存在にかかわらず、職務上知り得た秘密を開示することが認められる「正当な理由」の範囲や対象については、法解釈上、非常に難しい問題がある。組織に属する者が、その組織の不正行為を知り、その不正行為が守秘義務の対象となる情報を含んでいる場合、その者が内部告発することによって確保される公益と、その者に課せられている守秘義務のいずれが尊重されるべきか、という問題がある。
Wikipedia
PR被爆事例は反面教師として役立った
今回の斎藤知事PR被爆について、折田 楓社長のnoteの締めくくりの部分を以下に引用しておきます。
広報に関わる人間として、発信の重要性を痛感する事例でした。
この記事が今後の選挙で候補者を支える関係者の皆さまに、そして広報に関わる全ての方にとって、役に立つものとなることを心から願っています。
折田 楓社長のnoteより
また、「広報」というお仕事の持つ底力、正しい情報を正しく発信し続けることの大変さや重要性について、少しでもご理解が深まるきっかけになれば幸いです。